Khat 1st album

ジャケ裏
ジャケ裏

すっかりブログを書かない人になってしまった。

世の中の流れと関係してるのかまとまった文字数を打つような行為が減った。

知人とのメールのやりとりなんかは相変わらず長文なんだけど。

そんなこんなで時間ばかりが過ぎてしまった。

でも何もしていなかったわけではない。前回のブログから今までの間に

記録されなかった様々な出来事があった。それは記録されていないだけだ。

 

 

そうそう、記録といえば。

大樹さんと足繁くスタジオに集まってはエンジニアの伊三野さんと3人で

Khatというユニットの録音/記録をしていた。

レコード=記録だ。

時間に相当ルーズな僕と、時間にかなり正確な大樹さん。

いつも遅刻して謝ってばかりいるのはもちろん僕。

もう言い訳を考えるのにも飽きてしまった。遅刻は遅刻だ。うん。

 

 

Khatのレコーディングは滑り出しは概ね順調に。こんな楽しいレコーディング

は生まれて初めてだ!という興奮のもとにスタートし、途中からだんだんと

霧が出て来て視界が遮られ、混乱と混沌の渦に巻き込まれて終焉を迎えた。

 

つまり世間一般の録音作業となんの変わりもないプロセスを通り抜けたという話。

ただ世間一般と違うところがあるとすれば、そこにはプリプロというものが

なかったし、録音するための楽曲というものがひとつも存在しなかったこと。

 

 

そこはやはり大樹さんと僕だから。

楽観的に何も考えずにギターだけ持ってスタジオに来たはいいけれど

さて何を録るのか2人とも準備していない。準備をする、という発想がまず

なかったというのが事実だ。Khatはよく即興をする人達だと思われているのかも

しれないけれど、事実はちょっと違う。楽曲というものを何も準備しないだけの

結果なのです。僕は純粋な即興音楽なんて信じてないし、大樹さんはそういった

諸々のことは言葉では考えてない。でも前もって何も準備をしないからどうしても

即興的な要素が多く含まれてしまう。

 

 

さてそんなルーズさと呑気さが売り(?)の人達の録音もようやく終わりを迎えつつ

あるわけです。出来不出来はともかくとして合計CD3枚分のテイクが録れた。

中には1曲53分だったり。でも長いのはやっぱ聞き返すのも長いので途中から

諦めた。

 

 

滑り出しが好調だったと上述したように最初の2曲はあっと言う間に出来た。

録音が始まってから作曲行為に及ぶというのは意外と時間がかからないものなの

かもしれない?と期待したのはそこまでだった。

 

 

世の即興性を重んじる演奏家が往々にしてそうであるように、我々もまた自分達で

自分達の出す音に飽きてきてしまう。自己否定が始まる。奇をてらい始める。

でもそれはあまり良い結果を生まない。・・・ので僕ら2人共もういい歳の大人だし

自分達の持ってるものの少なさをさっさと認識し受容して今度はどんどん禅の道

的な地味なる方向にてくてくと歩いていってしまう。

会話というものはほとんど、ない。

やる気はあるけど諦めがいい。

 

 

人って歳を重ねるほどにどんどん「普通」になっていくでしょう。

それは若い頃に見えなかった物事の良さや旨味を少しずつ理解してくるから

本当にバランスよく美味しいものは「普通」なんだというふうになってくる。

もちろんこれは偏ったものが良くない、と言いたいのではなくて。

単純に人が成熟してくると瑣末な普通のものごとこそがスリリングであり

深い滋養を持ってるということが感じ取れるようになるという図式。

だから昔聴いてた音源や10代の頃に読んでた思想書が今読むと全然違って

感じられたりするわけで。若い頃はやはり表層に影響を受けるから。

 

 

ところでこの「普通」という表現は「中庸」と同じ意味なのかな?

違う、と僕は思ってるのだけれど。じゃあ何が違うのか。

それは多分この場合における普通という表現が上下左右のダイナミクス

がより広域に設定されてるように感じられることなのではなかろうか。

んー、どうでもいいかそんな話。

 

 

 

そうそう、録音。

そろそろ終わるのです。

今回はいつも写真を撮ってくれる山口稔氏にジャケット表/裏の両面を

お願いした。いろいろと話し合って決めようと思っていたけれど

途中からほぼ氏にお任せするカタチにした。写真家の世界観がこのジャケット

に出てるならそれで良い。少なくともそれは僕と大樹さんの共通認識だった。

他人と関わって作ることの良さはやっぱり物事がハイブリッドになること。

特定のひとりに帰属しないことなんじゃないかなー。

そうやって作品が作品としてさっさと独立して歩いていってくれるのが理想的。

 

 

1枚目のアルバムというのは一生に1枚しか作れないんだよ、と先日のラジオ

番組でえこが僕らに何気なく話してたのを聞いて「なるほど そうかもな」と

思った。もちろん2枚目だって3枚目だって厳密に考えたら一生に1枚なんだけど

ファーストというのはなかなか象徴的なものなんだよね。

僕は個人的にBill Frisellの1stやPat Methenyの1stに影響受けたし。

Radioheadの1stは当時イマイチに感じたからそういう特別になりえないものも

もちろんあるんだけど、作った本人にしてみたら最初の1枚というのは

2枚目以降とは明らかに違った存在になるし、ならざるをえない。

 

 

そういう意味で捉えると今回のレコーディングを通して、会話こそ少なかった

ものの(笑)、なかなか現時点での自分達を割と的確に切り取っている地味で

オリジナルな作品に仕上がったのではないかと思います。

 

 

一応CDを作るということでシンプルながらサイトも用意してみたりして。

まあ無口なユニットなのでブログもないしツイートもしないし。それは僕が

個人的に時々するくらいでいいかなと。

あとはライブスケジュールを載せるくらいで。もっとも自分達で不定期ユニット

と呼んでるくらいだからそんな頻繁に活動したりもしてないですけど。

まあこんな感じ↓

 

            Khat website

 

 

 

ASIA SunRiseとして大きな声で歌う大樹さんの静かな側面のそのまた一部

として、まあいわば影ですね。人にはひとつは必ず影が必要だから。

その影に対して合わせ鏡をしてるような行為の記録です。

 

 

 

 

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Khatのライブは7.26に京都UrBANGUILDにて。

以下、FBより抜粋:

 

 

前回たくさんのお客様にお越しいただき
好評のうちに終ったイヴェントーKHATー

その第2回目を催します!

*東京からkhat(畑崎大樹+タカスギケイ)のナイーヴな音を迎え
 仙石彬人のヴィジュアルアートと共にご覧いただきます。
*今回は共演に東京月桃三味線
*フランスからieva
 どちらも必見!必聴!

 

 

OPEN 19:00 /START 19:30
Charge : adv. 2500yen + 1drink / door. 3000yen + 1drink
【別途ドリンク代 500円要】

Charge+1000yen: with Dinner plate(24日までのご予約のみ)

*今回、UrBANGILD特製ディナープレート付きチケットもご用意しています。

通常はUr食堂の日にしか食べられないディナープレートを、

特別に提供していただけることになりました。

それというのも、前回かなりのお客様にディナープレートのお問い合わせを

いただいため。そう、Ur食堂のディナープレートって本当に美味しいんです!
この機会にぜひ味わってみて下さい。

at UrBANGUILD, Kyoto
http://www.urbanguild.net/